カディスの赤い星 逢坂 剛著 より
-- 「これは何?」 「つまらん肖像画です。聖徳太子の。百枚入っているはずですが、なんでしたら数えてみてください」 -- 「ごめんね。あなただけよくしようと思ったのに、だめだったわ。わたしって敏感なのかしら」 「敏感というのは、もう少し感度が鈍いことを言うんだ」 -- 前者は、企業側が消費者同盟に対して口止め料を渡すときに、主人公がさりげなさを装うために発したセリフ。 後者は、主人公が心の底から愛している恋人との会話。 こんな感じで5分に一回くらい、キザっぽいセリフがでてきます。 文中では恋人に“適当にしゃれのめす”という言われ方をしています。 頭の良さをひけらかして、口の減らないヤツ。と嫌みを言われたりします。 本の内容は、フラメンコギターと天才フラメンコギタリストを追っているうちに、スペイン総統暗殺計画に巻き込まれるという国際冒険小説なのですが、 堅いストーリーにウィットな味付けをしているのが、この主人公のユーモアで、 仕事上の取引先との駆け引きにも、女性との駆け引きにも、自分を本気で殺そうとしている殺人鬼との駆け引きにも、ユーモアを忘れない、本当に口の減らないヤツです。 とても面白かったです。 ちなみに、1989年だから結構前の本ですが、直木賞と日本推理作家協会賞と、日本冒険小説協会大賞をトリプル受賞したそうです。 逢坂 剛自身フラメンコギターの奏者で、幾度も渡西した経験があり、アウレリオセジェスというフラメンコの歌い手の住むカディスという街を訪れた経験から、小説が生まれたようです。登場人物もおそらくそれぞれモデルがいるのだと思います。 フラメンコのステップと狂ったようなギターの音色と観客の熱気に包まれながら 読み続けました。
by iam_nanae
| 2004-12-14 12:29
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