カテゴリ:books( 29 )
今日の抜粋 「猛スピードで母は」
「猛スピードで母は」 長嶋有著

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母に恋人らしい男性のいたことはこれまでにもあった。何度か紹介されたこともあるが母はどの男も「恋人」だとはっきりいったことはなかった。名字を「さん」付けで教えてくれるだけだ。慎のことは呼び捨てで相手に紹介した。母を間にして向かい合う男は皆すこし照れているようにみえた。どの男も慎と仲良くしたがった。おもちゃをずいぶんもらった。
二度、三度重ねて会うのはまれで、大抵の男性は一度紹介されるきりだった。朝、テーブルを挟んでパンを食べる慎をみながら「あんたはオートマの車なんか運転する男になるんじゃないよ」とか「すこし高い柵くらい軽々と飛び越えられるようになりなよ」などというので、なにがあったかは分からないが今度の男性もふられたかと思う。

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とてもとてもいい本だった。
「サイドカーに犬」「猛スピードで母は」の2短編がおさめられていました。
この本は裕福とは言えない子ども時代を過ごしてきた大人には、じーんとくるものがあるのではないか。と思います。
わたしは、貧乏で苦労している親の背中ばっかり見て育ってきたので、まったくもってじじじじーんと来てしまった。といっても苦労話がメインではなくて、子どものクールな目から見た大人への思いとか、生活環境に対する理解とか、なんだかそういうのが「ああ。そうそう」という感じでつくづく共感できるのです。
「ガンプラ?ガンモのテンプラか?」と言うような父がある日突然パックマンの筐体を持って帰ってきて、50円玉を横に積み上げてゲームに熱中する大人たちに対して子どもが、どうせ硬貨は取りだせるのになぜ一枚一枚いれてやらないかと聞くと、この方が臨場感が出るのだと答える。
なんだかとてもしっくりくるなあと思ったら著者と同い年でした。
そして今では大人の気持ちも子どもの気持ちもとても分かるのです。

なんだか懐かしい気持ちになったので、この本は兄に読ませようと思います。
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by iam_nanae | 2005-03-09 18:33 | books
ハガレン
鋼の錬金術師が面白いのです。
マンガの方は途中で挫折しているのだけど
いまDVDを借りて続けて観ています。
すごく悲しくて切なくてやりきれない感情があふれすぎていて、
この話しは子供が見てわかるのだろうか?と思ってしまう。
完ぺきな抜粋ではないけれど、その中で
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痛みを受けた者も、眠ることはできる
でも痛みを与えた者は、眠ることはできない。
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というようなセリフがあって、
うおおお。と唸ってしまう。
映像の方で観ると子供の声でちゃんとセリフを聞けるから
やわらかい気持ちで感じることができるのだけど
内容はやっぱり重くて、ひさびさにすごいマンガ(アニメ)だなあと思う。
すごい売れているみたいだし。

ちなみにわたしはアルが好きです。
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by iam_nanae | 2005-02-24 15:49 | books
今日の抜粋 「ソクラテスの弁明」
ソクラテスの弁明 プラトン著

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否、諸君、死を脱れることは困難ではない、むしろ悪を脱れることこそ遥かに困難なのである。それは死よりも疾く駆けるのだから。
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勢い余ってプラトンを読んでみたら、王太郎の後味にしっくり馴染みました。
死刑を宣告されたソクラテスの最後の弁明が長ーくつらつらと書かれているのだけれど、頭のいい人とは口喧嘩をしたくない。と常々思っている私は、ほとほと告発者メレトス君が気の毒になりました。長い弁明を終えても死刑はなお免れることがなく、しかし聴衆(や読者)のほとんどが、だんだんソクラテスの正義を疑うことがなくなってきて、しかし最後に
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しかしもう去るべき時が来た—私は死ぬために、諸君は生きながらえるために。もっとも我ら両者のいずれかがいっそう良き運命に出逢うか。それは誰も知る者がない。
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として終わるのです。
いさぎよいというか、ソクラテスは死を恐れてはいなかったのですね。市民が正義や真実を認識せずにいることこそを恐れていたと。うーん。かっこいい。かっこいいけど、人間ではないな。昔はこんな神様みたいな人間がたくさんいたのですね。
でも今も昔も、なにか智恵を広めようとすると必ず怪しまれるところは同じですね。それで死刑になってしまうのだから昔の方が不幸ですね。宗教との線引きも難しい。
いやはや。あまり難しいコメントはボロがでるのでやめておきます。
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by iam_nanae | 2005-02-14 15:15 | books
今日の抜粋 「世界は密室でできている。」
世界は密室でできている。 舞城王太郎著

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女の子の肩は、見た目よりずっと小さい。
お風呂で熱いと思うお湯の温度が、口に入れてみると全然ぬるいのと同じだ。何かを適切に計る器官は、対象によってそれぞれ決まっているのだ。女の子の肩の大きさは、抱いてみなけりゃ判らない。
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仕事が終わらないので、舞城王太郎に逃避しました。というのは嘘で、いや仕事が終わらないというのはほんとで、一瞬手が空いたので、というかやることはあるんだけど、ということはやっぱり逃避で、以前に読んだ本の抜粋をしようとおもいました。

これで王太郎さんの講談社ノベルズは制覇かな。
またまた男らしくて頭がよくてちょっと乱暴で純粋でぶっきらぼうで年並みにエッチな男の子がでてきて、そしてまたまたイマドキでかわいくて頭悪そうで生意気で、でもたまにするどいことを言ったりするからほうっておけなくてっていう女の子もでてきます。
相変わらず人がバンバン死にます。
そして時々このような純粋チックな文章が出てくるのです。
ずるいなあ。

ところで、本のタイトルや名前とかを「。」で止めるのって意味があるんだろうな。やっぱり。「モーニング娘。」みたいに。
以前、自分のあだ名に必ず「。」をつけて「く○だま。」と名乗っていたエキセントリックな友達がいた(いや今もいる)けど、やっぱり意味ないのかな?

ああ。仕事仕事。
もうひとがんばりしよ。
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by iam_nanae | 2005-02-14 14:50 | books
強い女BEST3
うう。これは強い!と思った女性が主人公の本を3冊あげました。
内容は結末まで明記する場合があります。これから読もうと思っているものがあったらご注意ください。

BEST1(魔性編)「夜の果てまで」 盛田隆二著

息子の家庭教師と不倫をする生活に疲れた美しい女。どろどろの関係は相手の男の就職の内定までつぶし、自分の家庭も壊し、全てをすてて駆け落ちしたくせに、「あなたの未来はこれ以上壊せない」とか言っちゃって、あっさり夫の元へと帰ってしまうが、男の方はボロボロに壊れて、無数のアリが幻影として見えてしまうくらいのアル中になってしまったり、とにかく周りの男を不幸にしまくる女。結局はまた家庭教師の男とよりを戻して幸せに暮らすというような示唆に終わっているけれど、いやあ無理無理。こわすぎ。絶対潰されるって!と思わせる魔性の怖さがいっぱいでした。同じ女とは思えません。でも女性にはこいう“魔”がどこかに必ずあるのかもしれない。とも思ったりします。

BEST2(強い女編)「柔らかな頬」 桐野夏生著

不倫相手の家族と自分の家族で別荘に泊まりに行っている間に、娘が行方不明に。自分を責めつつ娘を狂人的に探す日々が続く。そのうち、不倫相手も家族ももうどうでもよくなっちゃって、何もかも崩壊していって、娘が生きていることなんて信じていないんだけど、でもそれにすがるしか生きる術が無いって状態で、それでも実は本当に強いのはこういう女なのだろうと思わせるような内容。最後に出会った死にかけた刑事に精神を救われるんだけど、その刑事の白昼夢で真犯人が明かされるという、なんとも強引な結末にも納得させられてしまうのが不思議です。

BEST3(強い母編)「邪魔」 奥田英朗著

放火犯である夫の罪を知りながら家庭を守るためにどんどん落ちていく、平凡な主婦のおはなし。この「邪魔」なのは放火犯の「夫」であり、自分の理想的な家庭を続けるためには夫が邪魔なんだけど、すったもんだしているうちに、もう取り返しがつかないくらいぐちゃぐちゃになってしまって、生理的にとても嫌な男の愛人になる決心をしたりするところが意味がわからなくてとてもいい。結局自分も夫の罪を紛らわすために放火しちゃったりしてもう身も心もズタズタなんだけど、最後の最後には家庭も何もかも全て捨てて失踪しちゃう。失踪かあ。それはすごいなあ。と感心してしまった。うーん強い。しかし子供捨てて失踪しちゃうんだから強い母ではないわな。

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女としていろいろ疲れたときにこのどれかを読み返したいなあと思います。
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by iam_nanae | 2005-01-31 21:21 | books
今日の抜粋 ちょっと幸せ。
ちょっと幸せ。 gogo_jackieのブログより抜粋

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暗闇で

熱いラムを

口うつし

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毎日沢山更新しているjackieことじゃけさんのブログでは、もうすっかり前の記事になってしまいましたが、彼女の創る沢山の文章や詩が私は好きです。
中でもこの詩は、たった3行12コの文字だけで、目を閉じていても室内の温度や匂い、ざらついた肌の感覚までもが伝わってきます。
愛すべき酔いどれ詩人です。

ところで、私は高校生の時くらいに、なんか小説とか書きたいなあ。と思って、つれづれなるままにでたらめな物語を書いたりしました。しかし、素人がなんの計画も立てずに書く文章が面白いはずがありません。本当に読みたい、書きたい、と感じる小説は、緻密な伏線や様々な引用やうーんと唸る文章が沢山ちりばめられていて、心をぎゅっと掴むものでなくてはならないのです。大人になった今でも何か文章を書いて残したいと感じますが、とても私にはそんな能力や計画性や忍耐はなく、それならば詩を!と思いましたが、そっちのほうが難しいと、ブログで「今日の抜粋」を続けていてあらためて感じました。

小説は全体のストーリで読ませるものであり、最後の1ページまで読まないと真意がわからないものもあります。抜粋すべき面白い文章がなくても小説としてはとても面白い。というものも沢山あります。
ところが詩は、その言葉ひとつひとつが心をゆさぶり、つかみ、じーんとさせるものであり、だから人はこんな短い文章で感動してしまうのだと思います。
それはやっぱりとてもとても難しいのです。

わたしは少しずつ少しずつ感ジルコトを増やしていって、いつかぐっとくる詩を書きたいと思っています。そして「親友の結婚式に寄せる言葉」として残したいと思います。まだ結婚していない親友っていったら一人か二人しかいないのだけども。。

そのあと自分だけのために小説を書きたいです。おばあちゃんになる頃までには。
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by iam_nanae | 2005-01-24 14:41 | books
追加
年間BESTにひとつ入れ忘れた。

「ブルータワー」石田衣良

緻密で冒険的で夢と未来の嘆きがつまった、今どき珍しい正当派SFという感じです。
BEST4〜5くらいにいれたいです。だからBEST9になるのか。あー。ならもうひとつ加えたいな。やっぱ。まあいいや。
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by iam_nanae | 2005-01-19 10:54 | books
2004年度 年間BEST8
去年読んだ小説の中で、新旧含めて勝手に年間BEST8つけました。
ちなみに1著者につき1作品に絞っています。

BEST1:「煙か土か食い物」舞城王太郎
舞城王太郎に出会えたのはとても嬉しかったです。じょうじさんありがとう。
本を読んでこんなにも切なく笑えたのは初めてです。九十九十九と迷ったけど、四郎にfall in loveで堂々の1位です。講談社ノベルス以外にも手を出してみようと思っています。

BEST2:「重力ピエロ」伊坂幸太郎
伊坂幸太郎を読むと幸せな気分になります。ちょっとニヒルで惚けた空気がいつも漂う。そんな感じです。「アヒルと鴨のコインロッカー」もいいですが私はこちらのほうが好きです。伊坂幸太郎の本は、色っぽいシーンが少なくて暴力的なシーンは結構あるという、青臭さが好きです。

BEST3:「東京タワー」リリー・フランキー
映画化されたあの「東京タワー」ではなくて、リリー・フランキーのエッセイの方です。エンタクシーに掲載されていた一部しか読んでないですが、泣きました。本になったら絶対買います。おかんのその後が知りたい。けどやっぱり知るのは悲しい。
先の展開が分かっているのに、ぐいぐいとひっぱっていく文章が、いいところでCMに入られるようなじれったさを感じます。そこが好きです。
しかし、タイトルより名前の方がはるかにインパクト強いってのはどお?

BEST4:「今夜すべてのバーで」中島らも
壮絶な内容にびびりました。思わず少しお酒を控えるようになってしまいました。一瞬で戻りましたが。「ガダラの豚」もそうだけど、ものすごくよく調べて小説書くんですよね。真面目なんでしょうね。エッセイより小説をもっと書いて欲しかったな。天国でも大好きなお酒と暮らしているのでしょうか?冥福を祈ります。

BEST5:「邪魔」奥田英朗
おちゃらけ小説のほうで直木賞とっちゃいましたけど、私はこっちのシリアスな方が好きです。「最悪」もいいけど「邪魔」の方が“最悪”感がでてます。読みながら「うわあ。最悪」と何度つぶやいたことか。
いろんな小説書ける人ってすごいと思うけど、やっぱり自分でも書いてて飽きてきちゃうのでしょうか?

BEST6:「羊をめぐる冒険」村上春樹
「アフターダーク」があまりずしんと胸にこなかったので、古い小説を読み返しました。
この非現実的な、それでいてあまりにも現実的な匂いのする世界観が好きです。新しい本は非現実的すぎてついていけません。

BEST7:「解夏」さだまさし
さだまさし?え?さだまさし?「ゲゲ!(解夏)」なんていいながらついつい買ってしまった1冊ですが、以外にもあまりにも良くて、でも映画化やドラマ化なんてされちゃっていたもんだから恥ずかしくて人に勧めていませんでした。短編というか中編集みたいになっていて、「秋桜」とかとてもいいです。本全体に渡って、目を閉じていても田舎の景色が匂いとともに浮かんでくるような、優しい気持ちのお話ばかりでした。

BEST8:「岳物語」椎名誠
素敵な親子の真実の物語です。椎名自身もいいキャラクターだけど、奥さんがまたいいですね。そして、まこと伸びやかに育っていく岳くんが、これまた気持ちが良いのです。岳君は今ごろ何しているのかな。と思いを馳せてしまいましたが、いやもう30過ぎたいいおじさんですわな。しかし何やっているのでしょうか?世界中を釣りしながら旅行とかしていて欲しい。

以上。勝手なBEST8でした。
あと2つつけてBEST10にすればいいんだろうけど、もう疲れたのでやめにします。
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by iam_nanae | 2005-01-18 21:55 | books
今日の抜粋 暗闇の中で子供
暗闇の中で子供 舞城王太郎著 より

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・・・どうして物語なんて必要になる?喜びも悲しみも楽しみも寂しさも現実にあるもので十分なのに、どうして作り話が必要になるんだ?作り話はつまり嘘の産物だ。何で嘘なんかがここに介入して来たりしたんだろう?
 僕は答えをちゃんと知っている。それはつまりこういうことなのだ。

 ある種の真実は、嘘でしか語れないのだ。

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本の34ページ目つまりまあまあ冒頭で書かれたこの文章は、まるでこれから書かれる物語は嘘の産物ですよーん。嘘。嘘。まるで嘘!だから真剣に読んじゃだめだめ!と読者に向かって言い訳をしているようにも感じられるのは気のせいか?
だって、だって、本当にまるで支離滅裂な、暴力や死や救いや愛や音楽や、しまいには幽霊まででてきてもう、てんやわんやで同じ人が2回も殺されてるし結局結末は嘘を10個くらい並べて、やはりここでは真実は語らないとか言っちゃって、読者に対するものすごい裏切りがあるわけです。怒りさえ覚えます。
「土か煙か食い物」に続くこの「暗闇の中で子供」。物語は一貫して“カタルシス”を求めているのだと感じます。何に対して?自分?生?それとも死?王太郎風に書けば“語る死す”って感じかもしれないけど。ああ。私までおかしくなってきます。

ところでこの話しには一郎二郎三郎四郎と4兄弟がでてくるのですが、かれらの父親である丸雄を含む5人は、圧倒的に暴力的で力があって知性的で勇気があって強くて頑固で弱くて家族を何よりも愛しています。そしてとても男性的なのです。しかし彼ら(とくに二郎と四郎)の振るう暴力は並外れていてちょっと変態的です。もうコテンパンです。でもでも、私は二郎と四郎にとても魅力を感じます。その圧倒的な暴力に、もしかしたら魅力を感じているのかもしれないと思いぞっとします。

ああ。ちょっと精神が病んできたのかもしれません。ソフトな小説でも読んでリハビリします。

しかし今回は私は何に救われたのだろう?四郎とアテナの愛かな?
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by iam_nanae | 2005-01-07 16:17 | books
今日の抜粋 オスの上限
オスの上限 神崎 京介著(野性時代1月号より)

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これはふたりが互いを知り合うことにつながる痴話喧嘩ではない。自分だけが傷ついているという思い込みが、相手を傷つけることで得られる空しい優越感を求めているのだ。

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男女間(ときには同性同士)の喧嘩って、やっぱりとても苦しいし、切ないし、辛いし、うやむやに解決することが簡単で、本当に解決することは難しい。と思っています。なんか、この文章を読んで、やっぱり思い込みや誤解というものがほとんどの喧嘩の原因であるのだなあと。あらためて思います。
優しくされたいくせに優しくできない自分勝手さのようなものが自分の中でどんどん膨らんでいくのを、どうにかして止める自制心が必要。まあつまりは優しい心を常に持ち続けよう!なんて思います。

クリスマスイブに何言ってんだか。
あ。別に夫婦喧嘩しているわけではないのですけど。
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by iam_nanae | 2004-12-24 20:38 | books



感ジルコトを気ままに綴ります
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