カテゴリ:books( 29 )
今日の抜粋「ZOO」
「ZOO 1(短編集)〜カザリとヨーコ」乙一著 より

--
わたしは体を丸めて目を覆った。スズキさんがもうこの世にいないというのが信じられなかった。「あんまりですよー」と思った。
--

この乙一(オツイチ)という作家の本は初めて読みました。夫がなんとなくといって買ってきてくれたものですが、初っぱな2ページで「お、おもしろい」と感じました。
舞城王太郎とも高橋源一郎とも異なる独自の異質な世界観が漂っていました。
すさまじく残酷だったり恐怖だったりメルヘンだったり、色々な世界がこの短編集には収められていて、とても面白いと思いました。オムニバスで映画化されたらしいので今度観てみます。
この人の作品には、黒乙一と白乙一と呼ばれる二面性があるらしく、まさに「ZOO」はそれらがバランスよく収められた短編集です。

ところで6カ月に入りすっかり妊婦らしくなった私の心と体には
こういう刺激的な小説がどう作用するかちょっと心配ではあるのですが、
まあよしとします。

それからついでに妊娠生活の話。
私の通っている病院では、一日に初産婦は3時間、経産婦は1時間半歩きなさい。歩けなければスクワットしなさいスクワット。それが守れなければもう知らないからねー!という結構手厳しいところで、しかも食事は和食中心、肉油砂糖控え、ほぼダイエット食が決まりよ!決まり!と、従順な性格の人にはとてもストイックな妊婦生活が約束される環境となっています。
昔の、妊婦安静信仰や栄養のあるものを二人分食べなさいというおはなしは全く恐ろしい話とされてどこ吹く風です。まあ、昔とは生活様式も食事環境も違うのでいちがいには言えませんが。とにかく健康的な生活をしなさいというわけなのですね。

私はですね、しばらくそんなの放っておいて好き勝手に暮らしていたのですが、お腹が大きくなりはじめてからの妊婦検診で「あなたは初産が大だったから今度は4000g超えるわよ〜わっはっは」とおどされ、それはかんべんしてほしいと生活を改めることにしました。まあ自堕落な暮らしをしてるとあかんぼが大きくなるというわけではないのですが、余分な贅肉が少なければ少ないほどお産は楽で、体力があれば辛さも半減というわけで、4キロの子供を産むための体力作りを始めようと思ったわけです。
確かに体力や筋力がついていればお産も楽だしお産後の回復が超早い。病院の経験者のお話では、3人ここで産んだけど毎回1泊の入院で帰らせてもらいました。という人も。ただでさえ基本3泊4日の入院は短いほうで、普通はだいたい1週間は入院になります。
私は1週間くらいはのんびり入院していたいなあ、義母にも手伝いに来てもらう予定だし。。なんて思っていたのですが、まあ体が楽ならそれでもいいか。

ところで、女優の一色紗英が同じ病院で3人目を産むらしいということを最近知りました。随分前に女性誌で先生と対談していたみたいですね。しかも予定日が10月で私と同じ。同じ時期に入院だったらいいなあと思っていたのですが彼女も1泊で帰られたらほとんど合う可能性はないですな。

はあ、いかんいかん疲れてきた。スクワットしなきゃ。
先に書いた3人1泊帰宅の元産婦さんは後期には1日スクワット100回やっていたとか。
アスリートかあんたは。
でもスクワット100回できるようになったらどんなことにも耐えられそうな気がする。
がんばるか。
[PR]
by iam_nanae | 2006-06-28 13:38 | books
「グロテスク」桐野夏生
「柔らかな頬」を去年読んでから、この人がすっかり好きになり、女性だと知って、納得した。
「柔らかな頬」も「グロテスク」も「OUT」もキャラクター(特に女性)をこれでもかと深く深く掘り下げてリアルに描ききる。
本のストーリーはキャラクター同士の絡みで繋がっていく。

「グロテスク」について。
メーンキャラクターでありながら最後まで名前が出てこない有名エリート女子高出身の「わたし」と、誰をも魅了する美少女でありながらニンフォマニアで子供の頃から売春をし自然と娼婦になるその妹、「わたし」の元同級生で一流企業で働きながら売春を続ける友人、それからその売春婦二人を殺害する中国人。
この4人を掘り下げて展開していく。
なかでも中国人のストーリーは異常。あと一流企業の友人が病みすぎ。
どうやったらこういうリアルな心の闇をグロテスクに描けるのかと感心する。

こういう深くて重い本を読んでしまうと
しばらく精神がそればっかりになって、頭の片隅でストーリーを反芻する日が続く。
でも何故かそれが心地よく、書店でまた桐野夏生を探してしまう。
多分いま、一番すきな作家です。
[PR]
by iam_nanae | 2006-04-06 11:46 | books
今日の抜粋「疾走」
「疾走」重松清著より

--
誰か一緒に生きてください。
--

文庫本の装幀を見てジャケ買いしました。
こういう筋肉の線を筆で荒々しくなぞったようなタッチが私は好きで、ぞくっとします。
重松清という人は、他を全部読んでいないからわからないけどどうやら家族をテーマにした小説が多いようで、この本も子供が主人公なだけに深いテーマは家族だったり愛情だったりしていますが、小説の背景はもっと深くてどろどろで空は暗くよどんでいて環境は広くて荒れた干拓地。暗い。暗い。あー暗い。でも匂い立つ暗やみの中の疾走感がたまらないです。タイトルが「疾走」なだけに。

救いが無いようで有る。いや有るようで無い。どちらともいえない。
でも読後感はきちんと読み手の壊れてしまった心を修復してくれている。
読んでいて情景がはっきりと浮かびやすいなあと思っていたら、やはり映画化されるらしいです。

同じ、少年と自立をテーマにした本で村上春樹の「少年カフカ」を思い起こすけど
その匂いと感情が大きく異なる。でも私の中に残るしこりの種類はとても似ているような気がします。

何かを諦めたとき、もしくは諦められずに行動したときに少年は大人になるのかな。


最近本読んでいる?とじょうじさんに聞かれ、「し、重松清・・・」と答えたら
「重松清。昔読んであかんかったなあ。」と言われ撃沈。
文芸マスターのじょうじさんに本を勧めることなど恐れ多いと分かっていても
この2冊はセットで読んでもらいたいなあと思っているが未だ怖くて言えないでいる。
でも今度会ったら勇気を出して、こっそりかばんの中に忍ばせようか。
[PR]
by iam_nanae | 2005-12-01 10:19 | books
今日の抜粋 「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」 リリーフランキー著より

--
母親というのは無欲なものです
我が子がどんなに偉くなるよりも
どんなにお金持ちになるよりも
毎日元気でいてくれる事を
心の底から願います
どんなに高価な贈り物より
我が子の優しいひとことで
十分過ぎるほど倖せになれる
母親というものは
実に本当に無欲なものです
だから母親を泣かすのは
この世で一番いけないことなのです
--

去年エンタクシーに連載中に一部を読んで、感動し
本が出ていないのに勝手に去年度私的ベスト10入りを果たしたこの本。
そろそろ出るかなあと思っていたら、
夫が会社の知人から「号泣するから読んで」と借りてきた。
待ちきれずお借りしたほうを読んでから、勿論自分で買った。
お返しに、こないだまで自分の中で今年一番!と思っていたが東京タワーにあっさりその座を奪われた、奥田英朗の「サウスバウンド」をお貸しした。

めちゃめちゃ実話。ドキュメンタリーとも言える。でも時々リリーさんの素敵な文章で装飾される。抜粋したいところが山ほど出てきた。この人はすごい作家かもしれない。と思う。
しかしあえて、リリーさんの文章ではなく、最後に出てくるオカンの詩を選んだ。

料理と花札が好きで、人のことばかり気を配って、貧乏なのにもてなすことに一生懸命で、若い人はみんなお腹が空いていると思って、訪ねてくる息子の知人に振る舞うために二人暮らしなのに毎日5合の飯を炊く。唯一息子に本気で怒ったことは「男が金のことぐちゃぐちゃ言いなさんな!」ということ。そして息子を本当に本当に愛しているオカン。
オカンの人生は苦労だらけだったけど、世界一幸せな一生だったのではないか?
私は自分の母親と重ねてしまった。やはり苦労して育ててくれた母。
ありがとう。
オカンや母のように愛情に溢れた強い母親にわたしもなりたい。

リリーフランキー初の長編で、これからももっと面白い本を書いて欲しいけど、
この本は母の死と対面することによって、どうしても書かずにはいられなかったものなのだと思う。だからこれほど思いの詰まった本は、後にも先にももうこれだけなんじゃないかな。これはいわゆる、母への長い長いラブレターのようなものだから。
[PR]
by iam_nanae | 2005-08-12 10:49 | books
今日の抜粋 「サウスバウンド」
「サウスバウンド」奥田英朗著より

----
母が船から岸に上がり、姉の前に膝をついて言った。
「人の物を盗まない、騙さない、嫉妬しない、威張らない、悪に加担しない、そういうの、すべて守ってきたつもり。唯一常識から外れたことがあるとしたら、それは、世間と合わせなかったってことだけでしょう」
----

奥田英朗の最新作は、とーってもとーっても面白かった。今年読んだもので一番。
「空中ブランコ」で直木賞をとってしまってから、しばらくぶりの長編だったけど、
相変わらず勢いは衰えず、新たなとんでもキャラの出現に圧倒。
後半はほとんど西表島と石垣島が舞台で、それがまた素晴らしく羨ましい。
ちょうど夏休みに石垣に行く計画をたてていたので、心が踊りまくっている。
元過激派の父とそれを支える母と小学6年生の主人公。そして兄弟と友達、沖縄の住民。みんな人間的すぎて面白くって心が温かくて癒された。
あーあ。読み終わっちゃった。って思った。
もう一回読もうかな。
[PR]
by iam_nanae | 2005-08-04 10:06 | books
口癖
村上春樹の本によく出てくる言葉。
「好むと好まざるに関わらず」
「いささかスノッブに過ぎる」
「弁証法的に言えば」
他にもあるけど、思いついたので。
「好むと好まざるに関わらず」はとてもよく出てくる。気がする。

あと、椎名誠は、
「めったやたらに」
これはもう私小説なんて読んでいると、本当にめったやたらに出てくる。
こんな言葉口語で使う人いないよなあ。「やたらめったら」じゃいけないのかなあ?

こういうのは口癖と同じなのかな。
そういえば自分の口癖ってなんだろう。自分ではわからない。とふと思う。

ところで、タイトルとは関係ないけど、
半年ぶりに文芸誌「エソラ」がでて、とても嬉しい。オール読みきりでマンガあり。
完成度が高くて、なにより伊坂幸太郎の最新作が読める。(伊坂は他にも新作をだしていてそれも手に入れたので更に嬉しい)
文芸誌って最近デザインやコンテンツに趣向を凝らしていて、なかなかいい感じだと思うのだけど、特に野性時代とか、エンタクシーとか。で、エソラはすごいなと創刊号を読んで思ったんだけど、第2号まで半年も待たされるとは思わなかった。
あと奥田英朗の新作も買ったし、順番待ちの本達がキチンと棚に積まれているというのを見ていると、とても幸せな気分になる。

読書の初夏である。
[PR]
by iam_nanae | 2005-07-12 13:48 | books
今日の抜粋「うずまき猫の見つけ方」
今日の抜粋 「うずまき猫の見つけ方」村上春樹著

--
一に足腰、二に文体
--

村上春樹全集というとても物欲をくすぐられるものが出て、でもあまりにバカ高かったのでブックオフで100円とかの文庫本をちまちま集めて不揃い全集を作ってしまった。
そんなことがなければ買わなかったであろう、そのうちの1冊。

私は村上春樹のどこが好き?といったらやっぱり健康なところかなあ。と思う。
文章にもそれが溢れている。ちょっと不健康そうな暗いキャラクターを一生懸命描いてみても、書いている本人が健康そのものだからやぱりどこかに誠実な汗の香が漂っている。
と、思いませんか?
それで、この本に「一に足腰、二に文体」とあって、笑ってしまった。
「夜はだいたい十時に寝て、朝は六時に起きるし、毎日ランニングをして、一度も締切に遅れたことはない」し、「二日酔いと便秘と頭痛と肩こりは生まれてからほとんど一度も経験がない」と言ったらしばしばがっかりされるそうだ。

やっぱり体が資本だからね、これからも魂を削って粋の良い長編を書いて欲しいです。
[PR]
by iam_nanae | 2005-06-28 10:59 | books
今日の抜粋 「本当の戦争の話をしよう」
「本当の戦争の話をしよう」 ティム・オブライエン著

--
「まったく戦争ってのはひでえや」彼は哀しげに頭を振った。「片脚なんてなあ、ひでえじゃねえか。きっとそこで弾丸が尽きちまったんだよなあ」
--
「あのな、平和ってのはな、ものすごく気持ちのいいもんだ。あんまり良すぎて胸が痛むくらいだよ。だからそいつを傷め返してやりたくなるんだ」
--
徴兵通知は1968年の6/17に舞い込んだ。(中略)封筒を開けて、最初の数行にさっと目を通したところで、目の奥のあたりで血液が急にどろりと重くなったことを覚えている。
--
本当の戦争の話というのは戦争についての話ではない。絶対に。それは太陽の光についての話である。それは君がこれからその河を渡って山岳部に向かい、そこでぞっとするようなことをしなくてはならないという朝の、河の水面に朝日が照り映える特別な様子についての話である。それは愛と記憶についての話である。それは悲しみについての話である。それは手紙の返事を寄越さない妹についての話であり、何に対してもきちんと耳を傾けて聴こうとしない人々についての話である。
--

村上春樹訳のティムオブライエンは、生身の戦争体験を生き生きと感じさせてくれる。
まるで本当にすぐそこで、兵士達がこそこそとマルボロの箱を分け合い、家族の写真を見せあい、友の死を傷みあっているかのように。飾られた勇敢なエピソードや友情物語ではない、ベトナムの、本当の、戦争の話。
わたしの最も好きな映画である、デニーロの「ディアハンター」を思い起こさせる。
臆病な人間がいて、勇敢な人間がいて、愛する人を思い、友を助け、自分を見失い、敵を同じ人間だと思うことを忘れてしまい、生と死の間にあるべきものを、また見失い、自らがさらけだされていく、異常な体験。それが戦争。そこには失うものしかない。

この本をすすめてくれたのはじょうじさん。
いつもどうもありがとう。
[PR]
by iam_nanae | 2005-05-02 10:43 | books
今日の抜粋「団地ともお」
漫画「団地ともお」 小田扉著より

--
そんな事より木下、

世界は広いのに
四季のある国に生まれた事って
ラッキーだと思わない?
--

今現在、この世の中で一番好きな漫画が「団地ともお」です。
ビッグコミックスピリッツで毎週読んでいます。単行本も買ったけれど、
1週間に1編ずつというペースがこの漫画には合っているような気がします。
シュールでリアルです。まさにシュールレアリズムです。あってんのか?

抜粋したセリフは、なぜか朝練があるバイオ部員の主人公ともおの姉が、
みんなが朝練に来ないことを苛立っているところへ
さらに苛々するくらい真面目でポジティブシンキングな熱海君が
「しょうがないよ。春だからみんな朝はつらいんだ・・・」と言って抜粋の文章に続くシーンです。

ものすごいギリギリの1コマで落としたり、
ものすごいギリギリの最後の一言で笑わせたり、
すみずみまで大事に大事に作られている漫画です。
[PR]
by iam_nanae | 2005-04-06 23:03 | books
今日の抜粋 「子どもが育つ魔法の言葉」
「子どもが育つ魔法の言葉」ドロシー・ロー・ノルト著

--
詩「子は親の鏡」より

けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる
とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる
不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる
「かわいそうな子だ」と言って育てる、子どもは、みじめな気持ちになる
子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる
親が他人を羨んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる
叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう
励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる
広い心で接すれば、キレる子どもにはならない
誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ
認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる
見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる
分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ
親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る
子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ
やさしく、思いやりをもって育てれば、子どもは、やさしい子に育つ
守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ
和気あいあいとした家庭で育てば、
子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる
--

いわゆる育児本というのは、私はあまり読まないほうなのだけど、
なんとなく文庫本でおすすめの棚に並んでいたので買ってみた。
一番始めにこの詩が載っていて、とてもいいと思った。
本の中身については、多くの育児本がそうであるように同じ内容の繰り返しであったが、この詩を読めただけでいいかなとも思う。

4月から、2歳の娘は保育園に通っている。
まだ慣らし保育期間で午前中で終わりだけど、初めての「同年代の沢山の子供たちとの共同生活」というものに、彼女の中の何かが衝撃的に変化しているような気がする。
一番大きいのは、明らかに聞き分けが良くなったこと。
子どもはもともと「できる」のに、それを親が上手に引きだしてあげられるかどうかなのだ。ということを実感した。
特に2歳児というのは、まるでスポンジみたいに色々なものを吸収する。話せるようになって爆発的に生活力が向上していく。こちらは見ていて感動感心感激の嵐。
ふむふむ。これから色々楽しみだなあ。

ところで、保育園送り迎え時によく見られる「ママー!!行かないで〜!」というあの悲劇シーンを、私は若干期待もしていたのだけど、これが一切なし。
いいんだか悪いんだか悲しいんだか嬉しいんだか。。
さて今日はどんな変化を見せてくれるのかな?
[PR]
by iam_nanae | 2005-04-05 10:37 | books



感ジルコトを気ままに綴ります
by iam_nanae
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31