今日の抜粋 「本当の戦争の話をしよう」
「本当の戦争の話をしよう」 ティム・オブライエン著

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「まったく戦争ってのはひでえや」彼は哀しげに頭を振った。「片脚なんてなあ、ひでえじゃねえか。きっとそこで弾丸が尽きちまったんだよなあ」
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「あのな、平和ってのはな、ものすごく気持ちのいいもんだ。あんまり良すぎて胸が痛むくらいだよ。だからそいつを傷め返してやりたくなるんだ」
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徴兵通知は1968年の6/17に舞い込んだ。(中略)封筒を開けて、最初の数行にさっと目を通したところで、目の奥のあたりで血液が急にどろりと重くなったことを覚えている。
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本当の戦争の話というのは戦争についての話ではない。絶対に。それは太陽の光についての話である。それは君がこれからその河を渡って山岳部に向かい、そこでぞっとするようなことをしなくてはならないという朝の、河の水面に朝日が照り映える特別な様子についての話である。それは愛と記憶についての話である。それは悲しみについての話である。それは手紙の返事を寄越さない妹についての話であり、何に対してもきちんと耳を傾けて聴こうとしない人々についての話である。
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村上春樹訳のティムオブライエンは、生身の戦争体験を生き生きと感じさせてくれる。
まるで本当にすぐそこで、兵士達がこそこそとマルボロの箱を分け合い、家族の写真を見せあい、友の死を傷みあっているかのように。飾られた勇敢なエピソードや友情物語ではない、ベトナムの、本当の、戦争の話。
わたしの最も好きな映画である、デニーロの「ディアハンター」を思い起こさせる。
臆病な人間がいて、勇敢な人間がいて、愛する人を思い、友を助け、自分を見失い、敵を同じ人間だと思うことを忘れてしまい、生と死の間にあるべきものを、また見失い、自らがさらけだされていく、異常な体験。それが戦争。そこには失うものしかない。

この本をすすめてくれたのはじょうじさん。
いつもどうもありがとう。
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by iam_nanae | 2005-05-02 10:43 | books
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感ジルコトを気ままに綴ります
by iam_nanae
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